消化液とは、食品残渣や家畜排せつ物などの有機性廃棄物を原料にメタン発酵を行うことでバイオガスを生成し、回収した後に残る液体のことです。問題として、この消化液が有効活用されていない現状があります。
例えば、酒造会社では製造工程で発生した発酵残渣(絞りかす)を原料にメタン発酵を行い、生成したバイオガスを有効活用していますが、消化液は基本的に浄化処理されています。
九州大学大学院農学研究院では、そうした消化液を肥料原料とする技術を開発しました。この技術によって製造された液体肥料のことを『濃縮バイオ液肥』(以下、Bio-CLF)といいます。
なお、『濃縮バイオ液肥』の肥料としての安全性は、確認されております。人体に危害を及ぼすとされる重金属や化学物質等は残留いたしません。
濃縮バイオ液肥のメリット・デメリット
〇従来、廃棄されてきた
地域由来の有機資源から
化学肥料の代用品が作られること
〇窒素肥料の製造に使用される天然ガス、リンやカリウムの原料となる
鉱物資源が節減できること
〇廃棄処理コストよりも濃縮液肥生産コストの方が安く、さらに化学肥料の販売価格よりも安いため
農産物の価格が安定すること
〇
アミノ酸を含むため、
食味向上が期待できること
〇使用する原材料によっては
糖度が2~3度上昇すること
〇廃棄生乳や酒造廃液を原料に、
ミルク苺や
ウイスキーメロンなどの
高級フルーツができる
▲廃棄物の種類によっては、心理的な抵抗感があること
▲比較的新しい肥料のため、農業生産の現場への普及はこれからであること